ドライマウス

ドライマウス(口腔乾燥症)とは

ドライマウスとは、唾液の量が少なくなってお口の中が乾燥する症状です。日本人の800万人~3000万人がドライマウスであると推定されていますが、自分がドライマウスであることを自覚している人は少なく、歯科医師に言われたことがきっかけで治療を始めることが多いです。

唾液はお口の中で非常に重要な役割を果たしており、唾液が減少すると以下のような症状が現れます。普段の生活に支障が出るようになり、症状が悪化するとお口以外の健康に悪影響を及ぼすこともありますので、あてはまる項目がないかチェックしてみてください。

ドライマウスの症状

  • よく喉が渇く
  • 口臭が発生する
  • 食事の味が分かりにくい
  • 食べ物を飲み込む時にむせる
  • 口の中がネバついて喋りにくい

 唾液がお口の中で果たす役割

唾液にはお口の中に残った食べかすや細菌を洗い流し、消化を助ける力があります。免疫機能や抗菌作用、お口の中を保湿する働きもあり、お口を健康に保つためには欠かせない存在です。

唾液が減ると洗い流されなかった細菌が口腔内に留まり、増殖することで虫歯や歯周病リスクが高まります。重度のドライマウスになると舌のひび割れ・出血が起こって痛みを感じるようになり、食事や会話さえも苦痛になってしまいます。さらに、細菌が体内に侵入して肺炎などの別の病気の原因となる危険性もありますので「たかが唾液」と思わずきちんと治療を受ける必要があります。

ドライマウスの主な原因と治療法

40代以上の女性に多いドライマウスの合併症として、カビの一種であるカンジダが引き起こす口腔カンジダ症があります。唾液が減少して自浄作用が弱まるとPH緩衝能(歯が溶けたり細菌が繁殖するのを抑制する働き)が低下し、お口の中がカンジダ菌にとって住みやすい酸性に変化してしまいます。カンジダ菌が増殖すると粘膜が赤くなったり白い斑点ができることがあり、舌や頬の粘膜の痛みや唇の皮剥け、口角が切れるなどの症状が見られます。

口腔カンジダ症は、乾燥を防いでお口の中をきれいにすることが一番の治療法です。抗真菌薬や洗口液、口腔ケア用品も使用しながらカンジダの殺菌を行います。

ドライマウスとカンジダ症の関係

ドライマウスになる原因は、日常生活やお口の構造によるものが多いです。複数の要因が結びついてお口の乾燥を招いているケースもありますので、根本的な治療で症状を改善させていくことが大切です。

口呼吸上下の前歯が噛み合っていない人や出っ歯の人は、口をずっと閉じていることが難しくなります。無意識のうちに口が開いていることも多く、いつの間にか本来の呼吸法である鼻呼吸が口呼吸となり、乾燥した空気がお口の中に直接流れ込んでしまいます。

歯並びの悪さが口呼吸を促し、口呼吸が原因でドライマウスになっている場合は、矯正治療で根本の原因を解決します。また、唇の筋力が弱くて口が開いている場合は、お口周りの筋力トレーニングを行って口呼吸を治せる可能性があります。

薬の副作用特に糖尿病や高血圧などの生活習慣病を患っている方が服用する薬の中には、唾液の分泌量を減少させる副作用を持っているものもあります。唾液の量を増やすには、薬の量を調節するか、処方している医師と相談の上、薬の種類を変えるなどの方法があります。

食生活いつも柔らかいものばかり食べていると、咀嚼による脳への刺激が弱くなって唾液が減少することがあります。肉や野菜などの噛み応えのあるものをよく噛んで食べるほか、シュガーレスのキシリトールガムを噛んで唾液を出すこともおすすめです。

ストレス心理的な不安や興奮によって緊張状態になると交感神経が刺激され、逆に唾液腺をコントロールする副交感神経の働きが抑制されて唾液の分泌量が少なくなります。気分転換や軽く体を動かす運動など、定期的なリフレッシュで緊張を和らげるような時間を持つことを心がけましょう。